パキポディウムは、ユニークな見た目と育てやすさから、近年「ビザールプランツ」や「エキゾチックプランツ」として人気のコーデックス(塊根植物)の一種です。
乾燥地帯を原産とするパキポディウムは、その魅力的な姿と生命力の強さで、多くの植物愛好家に愛されています。本記事では、パキポディウムの種類や育成環境、管理方法、トラブルシューティングまで、詳しく解説いたします。Land Knot Plantsの植物ケアシリーズの一環として、ぜひ育て方の参考にしてみてください。
パキポディウムとは?
パキポディウムは、マダガスカルやアフリカの乾燥地帯に自生する塊根植物で、その名はギリシャ語の「pachys(太い)」と「podion(足)」に由来し、「太い茎」を意味します。
塊根植物として、幹や茎に水を貯める能力を持ち、サボテンのようなとげを持つことが多いのが特徴です。個性的な樹形と美しい葉を楽しめるパキポディウムは、観葉植物としても人気があり、初心者から上級者まで幅広く楽しめる植物です。
パキポディウムの主な種類
パキポディウムには、多様な種が存在し、それぞれ異なる姿や育て方を持っています。以下に、人気のある代表的なパキポディウムの種類をご紹介いたします。
1. パキポディウム・グラキリス(Pachypodium gracilius)
丸みを帯びた幹と短い枝が特徴で、マダガスカル原産の人気種です。小さな葉ととげのある姿は、一見サボテンのようですが、春から夏にかけて美しい白い花を咲かせます。
2. パキポディウム・ラメリー(Pachypodium lamerei)
「マダガスカルパーム」とも呼ばれ、細長い幹と大きな葉が特徴です。高さが2メートル以上に達することもあり、庭木としても楽しめますが、鉢植えでの栽培も可能です。
3. パキポディウム・ブレビカウレ(Pachypodium brevicaule)
最も珍しい種のひとつで、地を這うような低い形状を持つ塊根植物です。乾燥地帯の岩の間に自生しており、黄色い小花を咲かせることから「マダガスカルの宝石」とも呼ばれます。
パキポディウムの育成環境
パキポディウムは、乾燥に強い一方で、成長するためには適切な環境を整えることが重要です。ここでは、パキポディウムを健康に育てるためのポイントを解説いたします。
1.光
パキポディウムは日光を好みますので、年間を通して日当たりの良い場所で育ててください。特に春から秋にかけては直射日光を当てることが成長を促進します。室内で育てる場合は、南向きの窓辺やLEDライトを使用して、十分な光量を確保しましょう。
2.温度
パキポディウムは高温多湿に強い一方で、低温には弱いため、最低温度が10℃を下回らないように管理します。冬場は室内の暖かい場所に移し、霜に当たらないよう注意してください。
3.水やり
パキポディウムは乾燥に強い植物ですので、春から夏にかけては土が乾いたらたっぷりと水を与え、秋から冬にかけては水やりを控えめにします。特に冬場は「休眠期」に入るため、月に1~2回の水やりで十分です。過度な水やりは根腐れの原因となりますので注意しましょう。多肉植物用の配合土など、排水性の良い土を使用し、鉢底には排水穴があることを確認して、鉢の中に水がたまらないようにしましょう。
4.土
排水性の良い土を使用することが重要です。サボテン・多肉植物用の用土を使うか、赤玉土、鹿沼土、軽石を混ぜた自作の用土を使うとよいでしょう。
パキポディウムの管理方法
パキポディウムを長く楽しむためには、定期的な管理とお手入れが必要です。以下のポイントを参考に、健康的に育てましょう。
1.肥料
成長期(春から夏)に、液体肥料を2~3週間に一度与えます。肥料の与えすぎは逆効果になることがありますので、使用量を守り、秋以降は肥料を控えてください。
当店では、葉水で定期的にHB-101(活力剤)や春はハイポネックスなどを活用しています。ただ、植え替え直後などや開花直後で体力を使ったあとに肥料を与えると負けてしまう場合もあります。
パキポディウムは過酷な環境でも育つよう、幹に水分を蓄え忍耐強い塊根植物ですので、肥料のあげ過ぎで枯らしてしまうこともあるのでご注意ください。
2.植え替え
パキポディウムは成長に伴い、鉢のサイズを調整する必要があります。根詰まりを防ぐため、2~3年に一度、ひとまわり大きな鉢に植え替えを行いましょう。植え替えの際は、古い根や傷んだ根を切り落とし、根を清潔に保つことが重要です。
3.剪定
枝が込み合っている場合や、樹形を整えたい場合は、春に剪定を行います。剪定後は傷口が乾くまで水やりを控え、幹の腐敗を防ぎましょう。
パキポディウムのよくある問題と対策
パキポディウムは比較的丈夫な植物ですが、管理方法を誤ると以下のような問題が発生することがあります。
1.葉の黄変
原因:水やりの過不足、温度の変化、光不足が原因となることが多いです。 対策:水やりの頻度を見直し、環境を安定させるように調整しましょう。
2.幹の軟化
原因:過度な水やりや、低温によるダメージが原因です。 対策:水やりを控え、温かい場所に移動させて様子を見ます。深刻な場合は、幹を切り取って挿し木を試みることも可能です。
3.害虫(アブラムシ、ハダニなど)
原因:乾燥した環境や、通風不足により発生しやすくなります。 対策:定期的に葉をチェックし、見つけ次第駆除を行います。予防のために、葉に霧吹きで水をかけることも効果的です。
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種類 | 最低温度 | 最高温度 | 水やり頻度(成長期) | 水やり頻度(休眠期) | 特記事項 |
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パキポディウム・グラキリス (P. gracilius) |
10℃ | 30℃ | 土が乾いたらたっぷり | 月に1回程度 | 丸みのある幹と白い花が特徴。水やりの頻度を厳守。 |
パキポディウム・ラメリー (P. lamerei) |
12℃ | 35℃ | 2~3週間に1回程度 | 休眠期はほぼ不要 | 高さが2m以上になることも。マダガスカルパームとしても知られる。 |
パキポディウム・ホロンベンセ (P. horombense) |
10℃ | 30℃ | 2週間に1回程度 | 月に1回以下 | 鮮やかな黄色い花が魅力的で、葉の成長も早い。 |
パキポディウム・ロスラーツム (P. rosulatum) |
8℃ | 28℃ | 土が乾いたらたっぷり | 月に1回程度 | 幹が分岐しやすく、コンパクトな樹形が特徴。 |
パキポディウム・ブレビカウレ (P. brevicaule) |
15℃ | 30℃ | 1~2週間に1回程度 | 月に1回以下 | 地を這うような低い形状が特徴。水やりの過不足に特に注意。 |
パキポディウム・デンシフローラム (P. densiflorum) |
12℃ | 32℃ | 2週間に1回程度 | 月に1回程度 | 黄色い花と丸みのある幹が特徴。湿気に弱いため通気性に注意。 |